ISO 9001:2026 改訂版草案が発表されました:改訂のポイントと今後の見通し
2025年8月29日 ISO 9001 の改訂作業が進んでいます。注目を集めていた国際規格草案(DIS: Draft International Standard)が公開され、12週間にわたる投票およびコメント期間が開始されました。改訂版の正式発行は2026年後半、10月または11月頃になる見込みです。
「ISO 9001は産業界全体における品質保証の基盤です。今回の改訂は多くの関係者から注目されており、重要な意味を持っています。今日のますます複雑で変化の激しいビジネス環境において規格の有効性を維持するためには、定期的な改訂が不可欠です。」と、DNVマネジメントシステムのグローバルサービスマネージャーであるTor Gunnar Tollefsen氏は述べています。
草案での変更点
2026年版では、いくつかの重要な改訂が加えられており、その多くが、他のISOマネジメントシステム規格のHA(Harmonised Approach:整合のとれたアプローチ)に、より一層沿う形となっています。
草案に示された主な変更点は以下の通りです:
- リーダーシップとコミットメント(第5.1項)
品質文化と倫理的行動の促進に関する新しい要求事項が追加され、それらをどのように実証できるかについてのガイダンスが示されました。 - リスクおよび機会の管理(第6.1項)
リスクと機会の管理がより明確に区分され、新たに細分項(6.1.1~6.1.3)が追加され、ガイダンスも拡充されています。 - 気候変動に関する改訂の統合
2024年に追加された気候変動に関する改訂(4.1および4.2)が統合されました。 - 第4~10項における要求事項の一部修正
要求事項が一部修正され、加えて注記も追加・改訂されることで、内容がより明確に理解できるよう改善されています。
また、附属書Aは大幅に拡充され、第4~10項に対応する形でより詳細かつ改善されたガイダンスが示されています。
なお、今回の草案(DIS版)はステークホルダーによる意見聴取後に変更される可能性がありますが、現時点での内容から見ると、企業にとっては比較的軽微な変更にとどまると考えられます。
移行スケジュール
国際認定フォーラム(IAF)は、最終版発行が近づいた段階で移行ルールとスケジュールを公表すると予想されます。従来、ISOマネジメントシステム規格の移行期間は最長3年間とされてきました。しかし、今回の改訂範囲は限定的であるため、より短い移行期間となる可能性もあります。