DNVは、三菱HCキャピタル株式会社のトランジション・ファイナンス・フレームワークの評価を実施
DNVは、三菱HCキャピタル株式会社のトランジション・ファイナンス・フレームワークに対して、評価を行いました。なお、自社の移行計画と他者支援の両面を包括的に位置づけた枠組みは、国内初の事例になります。
トランジション・ファイナンス・フレームワークSPOより
三菱HCキャピタル株式会社(以下、三菱HCキャピタル、または同社)は、2021年4月に三菱UFJリース株式会社と日立キャピタル株式会社の統合により誕生しました。三菱HCキャピタルは「カスタマーソリューション」、「海外カスタマー」、「環境エネルギー」、「航空」、「ロジスティクス」、「不動産」、「モビリティ」の7セグメントにおいて先進的なアセットビジネスを展開しています。
三菱HCキャピタルは、アセットの潜在力を最大限に引き出し社会価値を創出することで、持続可能で豊かな未来に貢献していくことを「経営理念」として掲げ、その取り組みを「経営ビジョン」や「行動指針」として定めています。この中で、地球環境への配慮や社会的課題の解決や、サステナビリティへ取り組むことを明確にしています。
三菱HCキャピタルは事業活動を通じた環境課題・社会課題への取り組みとして、「重要なESG課題」を検討し、同社グループとして6つのマテリアリティを特定しています。マテリアリティの一つとして「脱炭素社会の推進」を定めています。
三菱HCキャピタルは「脱炭素社会の推進」の解決に加えて、「サステナブルかつレジリエントなアセットへの転換」への取り組みとして、2025年6月にTPT開示フレームワークや「クライメート・トランジション・ファイナンスに関する基本指針」等の各種ガイドラインに基づいた、「カーボンニュートラル社会の実現に向けた移行計画」(以下、移行計画)を策定しています。
三菱HCキャピタルは、統合前において、三菱UFJリース及び日立キャピタルとしてそれぞれグリーンボンドを発行しており、2023年3月に、事業を通じた環境貢献を他者のトランジションに資金供給する金融機関(Enabler)としてトランジション・ファイナンスを推進するため、国際的な枠組みに基づき「三菱HCキャピタル トランジションローン・フレームワーク」を確立しました。そして、今般、Enablerとしてだけでなく、三菱HCキャピタル自身のトランジション戦略(移行計画)に基づいたトランジション・ファイナンスも推進するため、フレームワークを改訂し、「トランジション・ファイナンス・フレームワーク」(以下、本フレームワーク)を策定しました。
本フレームワークは、三菱HCキャピタルまたは同社グループ会社がEnablerとして他者のトランジションを支援するだけでなく、自社のトランジション戦略(移行計画)を構築し、自社の脱炭素化も推進するという二つの役割を意図したものです。
まず、三菱HCキャピタルは脱炭素に向けた取り組みを主体的に進める姿勢を示すものとして、自社の持続可能な成長に向けたトランジション戦略である、移行計画を策定しました。
さらに、三菱HCキャピタルは他者のトランジションを支援するEnablerとしての役割も担っており、これら二つの視点を統合する形で、本フレームワークは構成されています。
このように、本フレームワークは、三菱HCキャピタル自身の脱炭素に向けたトランジション・ファイナンスの実行に必要な要素を含むとともに、金融機関として求められる他者のトランジションの支援の両面を包含した包括的なフレームワークとして改訂されています。
本フレームワークは、下記ファイナンスの実行に必要な要素を含む包括的なフレームワークとして構成されています。
- トランジション・ファイナンス(ボンド及びローン)
- トランジション・リンク・ファイナンス(ボンド及びローン)
DNVビジネス・アシュアランス・ジャパン株式会社(以下、DNV)は外部レビュー機関として、フレームワークの適格性を評価しました。具体的には、DNVは以下を中心とした枠組み(原則やガイドライン等)を適用・参照し、フレームワークの適格性評価を行いました。
- クライメート・トランジション・ファイナンス・ハンドブック(CTFH) 国際資本市場協会(ICMA)、2023
- クライメート・トランジション・ファイナンスに関する基本指針(CTFBG) 金融庁、経済産業省、環境省、2025
- グリーンボンド原則(GBP) 国際資本市場協会(ICMA)、2025
- グリーンボンドガイドライン(GBGL) 環境省、2024
- グリーンローン原則(GLP) ローン・マーケット・アソシエーション(LMA)他、2025
- グリーンローンガイドライン(GLGL) 環境省、2024
- サステナビリティ・リンク・ボンド原則(SLBP) 国際資本市場協会(ICMA)、2024
- サステナビリティ・リンク・ボンドガイドライン(SLBGL) 環境省、2024
- サステナビリティ・リンク・ローン原則(SLLP) ローン・マーケット・アソシエーション(LMA)他、2025
- サステナビリティ・リンク・ローンガイドライン(SLLGL) 環境省、2024
- アジアトランジションファイナンスガイドライン(ATFG) ATFスタディグループ、2022
(以上、報告書サマリーからの抜粋)
金融機関としての「Enabler」の機能と、自社の実効性ある移行計画を両立させた事例は、国際的にも稀であり、日本初かつ世界的にも先進的な取り組みといえます。
三菱HCキャピタルは、サステナブルファイナンスを単なる資金供与にとどめず、自社の移行計画の実行と他者の移行支援を結び付けることで、意義のある事例となっています。
詳細は、サステナブルファイナンスリスト(評価実績)より、ご覧ください。
関連情報
三菱HCキャピタル株式会社のカーボンニュートラル移行計画の評価に関するニュースリリースはこちら。
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