バリューチェーンにおける食品ロスと廃棄

食品・飲料企業からの洞察

食品ロスと廃棄は、世界的に見ても大きな課題であり、同時に大きなチャンスでもあります。国連環境計画(UNEP)によると、消費者向けに生産された食品のほぼ5分の1が毎年廃棄されており、2022年だけでもその量は10億5,000万トンにのぼりました。

DNVでは「Food loss and waste ViewPoint(食品ロスと廃棄に関するViewPoint調査)」にて、食品・飲料業界の企業がバリューチェーン全体でこの問題にどう取り組んでいるかを調査した結果、多様な状況が浮き彫りになりました。10社中6社は食品ロスと廃棄が問題であると認識している一方で、それを企業の優先課題として高く位置づけている企業は25%未満にとどまっています。それでも、多くの企業が改善の可能性を認識しており、回答者の半数は「かなりの割合の廃棄は回避可能」と考えています。

調査では、取り組みの初期段階にある企業は主に業務面での対策に焦点を当てる傾向があり、より取り組みが進んでいる企業は、食品ロス・廃棄削減をより広範なサステナビリティ戦略に統合するなど、包括的な視点で取り組んでいることが明らかになりました。

食品廃棄の10%以上を他の用途に再利用している企業はわずか2割で、食品ロス・廃棄を管理するための正式なシステムを導入している企業も半数に満たないのが現状です。主な障壁としては、「認識不足」「教育の不十分さ」「食品安全とのバランス」が挙げられます。また、食品ロスと廃棄の原因はバリューチェーン全体に分散しており、特定の単一要因によるものではないため、問題は非常に複雑です。

多くの企業が何らかの取り組みを行っているものの、実質的かつ持続可能な削減を実現するには、より体系的かつデータに基づいたアプローチが求められます。本レポートでは、企業の取り組み状況や直面している課題、食品・飲料業界における食品ロスと廃棄を削減するための最大の機会はどこにあるのかについて洞察を提供しています。