ISO認証および規格のメリット
現代のビジネスにおいて、顧客やステークホルダーは、製品やサービスが安全で信頼性が高く、高品質であることを求めるだけでなく、環境に配慮した取り組みから社会的責任まで幅広い持続可能性の観点で事業が行われていること、さらに企業が多様性、公平性、包摂性(DEI:Diversity, Equity & Inclusion)などの要素を取り入れていることも求めています。加えて、顧客やステークホルダーは、これまで以上に実績の裏付けを求めています。
ISO規格は世界的に認知されたベンチマークであり、組織はプロセスの実施や製品の設計・製造においてISO規格の要求事項に適合することで、業務や製品のパフォーマンスを向上させることができます。その後、第三者認証を取得することで適合の証明とISO認証のメリットを得ることも可能です。
ISO規格のメリット
規格はもともと、重さや長さの単位などの基準として開発され、その後さまざまな分野に拡張されてきました。近年では、企業が採用するマネジメントシステムの構造、プロセス、戦略、リスク管理 に関連するISO規格が急速に重要性を増しています。
ISOのマネジメントシステム規格、たとえば ISO 9001(品質マネジメントシステム)、ISO 14001(環境マネジメントシステム)、ISO 45001(労働安全衛生マネジメントシステム) は、組織が効果的なマネジメント実践を 体系的に構築・実施・維持 するためのフレームワークを提供します。これらは現在、認証件数の面で最も大きな規格ですが、企業が管理すべきリスクが拡大する中で、他の規格の採用も増加しています。
ISOマネジメントシステム規格は、組織に対して以下のようなメリットがあります:
- リスクの管理、事業成果の向上、および継続的改善の推進に役立ちます。
- 新市場への参入を支援し、発展途上国との公平な競争環境を整え、自由で公正な国際貿易を促進します。
- 多くの企業にとって、特定の規格に対する認証の取得は、取引の前提条件となっています。製造業をはじめとする企業では、サプライチェーン全体で品質を確保するために、適切なサプライヤー評価の仕組みを導入するなど、こうした認証を活用しています。
これらの規格を採用し、そのフレームワークや要求事項に基づいてマネジメントシステムを構築・運用することは、多くの場合任意のプロセスであり、必ずしも最終段階である第三者認証の取得まで行う必要はありません。
ただし、認証を取得しない場合、せっかくの取り組みを十分に活かしきれない可能性があります。
こうした組織は、第三者による実績の証明(認証書)を持たないことになりますが、より重要なのは、第三者による評価によって、内部監査では見つからない改善の余地が明らかになるという点です。
ISO内部監査員として認証を取得する方法について、詳しくはこちらをご覧ください。
ISO規格および認証のメリットとは?
ISO規格を採用し、その要求事項に適合したマネジメントシステムを構築・運用した組織は、認定された認証機関による認証を取得することで、その効果を最大限に活かすことができます。
第三者機関がシステムが規格要求事項を満たしていると認証した後に初めて、組織はその適合性を顧客やステークホルダーに対して客観的に証明することが可能になります。
ISO認証による組織へのメリットは多岐にわたり、主に以下の点が挙げられます:
- 信頼性と認知度の向上:ISOマネジメントシステム認証は国際的に認められており、組織が品質、環境責任、労働安全衛生などの分野で最高水準の基準を順守していることを示す証となります。これにより、顧客、競合他社、市場からの信頼を得ることができます。
- 市場アクセスの拡大:多くの業界や取引先では、サプライヤーやビジネスパートナーにISO認証を求めています。認証を取得することで、新たな市場やビジネス機会への道が開かれます。
- 顧客満足と信頼の向上:ISO認証は、顧客やその他の要求事項を満たすこと、そして顧客満足の向上に重点を置いています。その結果、長期的な取引関係の構築や顧客ロイヤルティの向上につながります。
- 従業員の参画と意識向上:規格の導入およびISO認証の取得・維持のプロセスには、組織全体で従業員が参画します。これにより、継続的改善とエンゲージメントの文化が組織内に根付きます。
以下のメリットは、システムが認証を取得しているかどうかにかかわらず得られる可能性がありますが、第三者認証機関を活用する組織は、これらの分野において第三者からの経験や指導の恩恵を受けることが多いです:
- リスク管理:ISO規格に準拠することで、組織はリスクを効果的に特定・評価・管理でき、事業の継続性と強靭性を確保できます。
- 継続的改善:ISO規格は継続的改善の原則に基づいており、組織は定期的にプロセスを評価し改善を行うことが求められます。これにより、長期的な事業の成功が支えられます。
- 法令遵守:ISO規格に準拠することで、組織は法的・規制上の要求事項を遵守しやすくなり、違反によるリスクや罰則の低減につながります。
- 業務効率の向上:ISO規格を導入することで、組織のプロセスが効率化され、非効率や無駄が削減されます。その結果、業務パフォーマンスの向上やコスト削減が期待できます。
これらのISO認証のメリットは、組織の信頼性や競争力を高めるとともに、ステークホルダーの期待に応えながら持続的に成長する力を強化します。
マネジメントシステム認証は、単に要求事項を満たすことが目的ではなく、卓越性と継続的改善の文化を組織のDNAとして根付かせることにあります。
ISO認証企業と取引することのメリット
ISOの認証や規格は、単なる「名誉の証」ではなく、企業が卓越性と継続的な改善に真摯に取り組んでいることを示す確かな証です。また、ISO認証は一度取得して終わりではなく、継続的に維持していくサイクルでもあります。認証を受けた企業は、毎年の定期審査を受け、3年ごとに再認証審査が行われます。ISO認証のメリットは、認証を取得した企業だけにとどまらず、その企業と取引するパートナー企業にも広がります。
ISO認証、特にマネジメントシステム認証を取得している企業と取引することで、業務の効率や信頼性を高めるさまざまな利点が期待できます。
具体的には:
- 一貫性と信頼性の高いサービス:提供される製品やサービスの品質が一定に保たれていることが保証されます。これにより、緊急時の代替手配やリスク回避策を講じる必要が減少します。
- リスクの低減:認証を受けた企業は、潜在的なリスクを評価・軽減するためのプロセスを整備しています。
- 法令遵守:ISO認証企業は、法的・規制上の要件を遵守している可能性が高く、取引する側の企業にとっても、連携に伴う法的リスクの軽減につながります。
- 継続的改善の推進:継続的改善への取り組みを通じて、認証企業は常に業務プロセスや顧客対応の向上を目指しています。
これらのメリットは、ISO認証企業と取引することの価値と、事業全体へのポジティブな効果を示しています。