社を代表し、年始のご挨拶をさせて頂きます。
平素は弊社サービスをご利用頂き、又、弊社をご贔屓頂き有難う御座います。
社を代表し、本年の挨拶をさせて頂きます。
「日本の風景は水蒸気がつくっている」
これは司馬遼太郎の著書「坂の上の雲」の中の一節ですがこれは、続く「日本の風景の感情表現は油絵では至難である」という一文と共に、学生の頃に本書を読んだ私の最も印象に残る部分です。 これはこの独特な風土に根ざした日本人の思考や行動原理のベースを的確に表した一文であり、論理的な西洋の考えとは一線を画す事を間接的に表現している、との論もあります。
こうした相互信頼、不文規律で成り立つ一種曖昧な日本の文化や慣習の中に、欧米発信のマネジメントシステム規格始め様々なシステムが紹介導入され、既に四半世紀を越えようとしています。 この評価は功罪織り交ぜ様々ではありますが、昨今新聞紙面でも大きく取り上げられている様々な品質問題とその後の対応のお粗末さは、営々と築いてきた日本の伝統的な文化とこうした欧米式システムが、本来の特性を十分に活かすこと無く融合性の面で制度疲労を起こし、それが社会問題へと表面化したと考える事も出来ます。
言うまでも無く、私共認証審査機関の業務は、規格や諸システムを基にした審査、アセスメントです。上記の制度疲労・不整合に起因する諸問題に私共が如何に取り組むかを考えますと、明確な論理のみを唯一解と考えるのでは無く、我々の業務の中に、日本的な視点や慣習への考慮を欠かす事は出来ないと言えるかも知れません。
昨今、地政学的な不安定さや保護主義の過度な台頭等により既に景気後退の兆しは見えており、政治経済の不確定要素は増大しています。ただ一方でこの環境下だからこそ、我々の社名でもある「ビジネスアシュアランス」即ち、お客様の事業活動を支え、安心・安全・確実を守り信用を担保するという弊社の使命は益々重要になる筈とも考えています。 北欧企業の特徴でもあるサービスラインの先進性、広範性、国際展開力等の強さを活かし、且つこのユニークな日本文化の特質、慣習をも活かし、顧客目線に徹した技術的プロ集団としての基本理念は変える事なく、より先進的で付加価値の高いサービスを今後も提供させて頂く所存です。
本年も変わらずお引き立て頂ければ幸いに存じます。
DNVGL ビジネス・アシュアランス・ジャパン株式会社
代表取締役社長 前田直樹