ERM

企業や組織が目的達成のために意思決定を行い、業務を遂行する際に生ずるあらゆるリスクを戦略的に1.把握、2.評価、を経て3.最適化し、企業価値の最大化を図るリスクマネジメント手法を指します。

エンタープライズリスクマネジメントとは- 先進的リスクマネジメント-

企業や組織が目的達成のために意思決定を行い、業務を遂行する際に生ずるあらゆるリスクを戦略的に1.把握、2.評価、を経て3.最適化し、企業価値の最大化を図るリスクマネジメント手法です。リスクの範囲は大地震のような自然災害のみならず、テロや戦争、投資損失やコンプライアンス違反、セキュリティ侵害等、広範囲にわたります。

現在行われている個別型リスクマネジメントは、部門や一組織、また各セクター等、特定の部署単位にて完結、もしくはISOのように個別の側面に特化しているのに対し、エンタープライズリスクマネジメントでは、企業で設定された目標・指標と保有するリスクの関係を総合的に把握します。これにより異なるリスク同士でその重要度を比較評価したり、相互影響度を考慮することが可能となります。全体を俯瞰的な視座で見渡し、リスクコントロールの優先順位を決定できることが大きな特徴です。ERMに関するフレー ムワークとしては、2004年9月にアメリカの米国トレッドウェイ委員会組織委員会COSO(Committee of Sponsoring Organization of the Treadway Commission)が発表した「COSO ERM」が代表的です。

このERMは、コーポレートガバナンス、経営管理(業績管理)、内部統制、コンプライアンス、CSR、セキュリティ対策などを統合的に管理するための概念として、近年重要視されるようになってきました。また、市場においてリスクを取って攻めに転じる際、経営の判断基準として効果的に用いられています。

また、これは、CSR(企業の社会的責任)の概念を一歩進めたものとも言えます。CSRは企業体を運営していく上でビジネスアプローチとして不可避なものとなってきています。というのも、企業のCSRの実態がそのあるべき姿・ありたい姿と乖離しているが為に、不祥事による破綻やビジネスチャンスを見逃す結果に繋がり兼ねないからです。従って、省エネや慈善事業といった従来のCSRの概念を超え、企業運営の中において、労働条件や、採用、情報セキュリティの漏洩、環境配慮やサプライチェーン管理などを網羅的に把握・評価する必要があります。

ERMは、より幅広い要素を包含し、かつリスクの管理状況を浮き彫りにする先進的マネジメント手法です。下の図のように相互に全く違う要素のリスクを一元的に管理し(ポートフォリオ化)、複数のリスク対策を連携させることで、効率的かつ効果的なリスクマネジメントが可能となります。


ERMの具体的手順について

手順

概要

1. リスクを特定する

具体的には、従業員と事業部門のエンドユーザーに用紙を配り、そこに列挙されたあらゆるリスクから該当するものをピックアップします。

また、人事、IT、法務、財務などの責任者を集めて会議を開き、企業にとってどのようなリスクがあるのかについて自由に意見を出してもらうという方法も可能です。 その際、リスク要因の選定と評価(次のステップ)は十分な議論の元に決定されなければなりません。

2. リスク評価

企業が直面するリスクを特定したら、次に、それを評価・分類します。

最も簡単な手法は、可能性と影響度とを縦軸と横軸にとったチャートに、これらのリスクをマッピングしていくという方法です。縦軸と横軸に尺度をつけた単純なチャートを作成することで、それぞれのリスクが可能性と影響度の大きさによってビジュアライズされた地図ができます。

この地図を作成するには、正確さと一貫性が求められる。例えばリスクを『低、中、高』で評価する場合、社内のあらゆる部署が同じやり方と尺度で評価しなければなりません。

3. リスクの回避

ここまでで、企業が直面するリスクのチャートが完成しています。今度は、ここを出発点として、リスク軽減又はコントロールの手段を探し、リスク対策の有効性をチェックして、他に必要な措置がないかどうかを判断します。
また、企業が目標とするレベルのリスク管理に対し、リソースが適切に配分できているのかを精査し、供給過多の部分は他の要素に振り分け、不足しているのであれば、注ぎ込むような措置を総合的・戦略的に試算し実行します。  

この段階まで来れば、リスクデータの内容に基づいて判断を下すことができるようになります。つまり、これ以降、リスク要因の本質を踏まえながらリスクマネジメントを実行することが可能になる、ということです。



ERMのポートフォリオ図(サンプル例)

エンタープライズリスクマネジメントポートフォリオ図

ここでは一例として、ERMのポートフォリオ図を示しています。ERMは、設定された目標・指標と保有するリスクの関係を総合的に把握することが鍵概念です。この図では、「財務状況」に焦点を当てるポートフォリオを描き、各要素をトータルに判断しています。